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2017年 飲食店の倒産 2000年度以降で最多 8割は小規模店舗
「5000万円未満」の小規模倒産の構成比が81.7%を占め、10年前と比べ10.7ポイント増加した。これはなんでしょうか? 2017年10月東京株式市場は1996年7月以来の16連騰という高値更新に沸きました。 ちまたでは好景気感を実感できないのですが上場企業が軒並み業績を上方修正するのですから大手の企業に関しては力強さが備わって来たのではないでしょうか。 さてそんなおり、帝国データバンクが発表した2017年度上半期の外食関連業者の倒産動向調査に驚きと注目が、 一体どのような内容だったのか今回はそのレポートの中身について解説いたします。
飲食店 「 休廃業・解散 」 件数データからみえてくることとは
倒産件数・負債総額
衝撃的だったのが2017年度上半期(4月~9月)の外食関連業者の倒産件数が360件にのぼり、前年同期で比べると38%もの増となっていること。 近年、上半期で前年度を上回るのは4年ぶりということですが、実はこの360という数字は2011年の上半期倒産件数355件を抜いて記録のある2000年度以降で最多となったのです。 株の世界では1966年以来の連騰を記録するなか、同じような期間内で外食関連業者の倒産件数が最多を記録する背景になにがあるのでしょうか。
規模別倒産傾向
360件の倒産件数の中身を規模から見ます。
業態別倒産傾向
飲食店のどの業態が倒産しているのか。 日本標準産業分類により振り分けられた外食産業の業態が11の種類に分けられているのですが、たとえば一番馴染みのある居酒屋、焼き鳥、おでん、もつ焼きといった昔ながらの飲食店。 ダイニングバーやバルといった今風の飲食店も「酒場・ビヤホール」などに含まれ倒産業態に含まれています。 同様にラーメン、カレー、焼肉、餃子などエスニック料理系は「中華料理、その他の東洋料理」にひとくくりに。 実はこの「中華料理、その他の東洋料理」というふたつの業態が毎年倒産件数と倒産割合の1番、2番を占め、もっとも他の業態に比べ店舗数も格段に多いことがあげられますが、小規模で起業しやすいという点も共通しています。 その対極にあるのが、技術的に参入障壁の高いといわれる寿司店に土地、建物それと人件費を賄うだけの資本が必用な料亭、原価率が低く利益の出やすいそばやうどんと言った業態の倒産件数はあまり多くありません。
結 論
業績の伸びている彼らは、ナショナルチェーンとまではいきませんが駅前や商店街の一等地に店を構えることが出来ます。 セントラルキッチンで大量に作られた食材を使う訳ですから、仕入れの価格面でも圧倒的に有利、それゆえ小規模 飲食店と同じかそれ以下の値付けを可能にしているわけです。 これまで大手と個人の小規模 飲食店は客層の住み分けをしながら共存して来たのに、大手が大きな資本で小規模 飲食店の客層に殴り込みをかけて来た形に。これでは、小規模店舗はひとたまりもありません。 そこにもってきて、野菜の高騰と円安が続くことで仕入れコストが上がるというダブルパンチが資金繰りの悪化を招き今回の倒産件数につながっていると結論付けます。小規模飲食店が生き残る道はある
さて小規模店舗が生き残る道はないのかといえばそうではありません。 ただ小回りの効かない大手に対して差別化を図る工夫が必要。 同じ焼き鳥でも特定の産地や特定の品種などで差別化したり、酒の種類などを東北の酒蔵から数多く取り寄せたり、県を絞ってすべての酒蔵の種類をそろえるなどが差別化につながります。 ただでさえ参入障壁が低い業態では、他店と何が違うのかを明確に打ち出し、一般受けするお店から、そう多くはないが確実に存在するコアなファンを作り出す店舗やメニュー作りがますます生き残りのカギとなりそうです。飲食店の閉店と廃業の実態 倒産動向調査レポート2020年更新版